飲まずにいられない

流れ流れてたどり着いた東京の片隅で現在や過去や未来ん中から幸福のカケラを拾い集めては言葉にのこしていく単純な作業の場所

与えるより多く、奪ってしまいたくなるんだ

よく角のたった消しゴムでシャープペンシルの文字を消していく。白いコピー用紙に撚れてよごれたゴムがひろがっていく。いくらきれいに消したと思っても、かざしてみると筆圧が紙にかわいそうなぐらいの爪あとを残しているのがわかる。


消しても消しても消しても、なくならない。色が消えても記された事実は消えない。上から引っ掻いて平らにしようとしたってダメだ。もうこの心に刻印されてしまった。取り返しがつかなくなる手前なのか手遅れなのか判断できなくなったわたしは、静かに胸元のかたまりを右のこぶしで押し、左のてのひらで慈しむ。