飲まずにいられない

流れ流れてたどり着いた東京の片隅で現在や過去や未来ん中から幸福のカケラを拾い集めては言葉にのこしていく単純な作業の場所

祝日の 午後のパノラマ

izumi_yu_ki2005-10-10

最終日はプチ徹夜で恋人まで会社休ませ手伝わせ怒濤の納品をすませた祝日は雨降りで杖つき娘にゃ外出は無理だし眠いしたまにはひたすら文字通り骨を休ませようと普段なら家でCDなんかほとんど聴かないけど今日は珍しく「OMNIBUS」などかけてみたら或る曲の歌詞がここらへんのシチュエーションをまるでなぞるようだと今更気づいて小さく驚いた。

野菜ジュースのまずにいられない。1リットルパックをふたつ冷蔵庫にイン。これで数日間の朝食が確保できて安心。

土日に頑張った自分(と協力者)へのささやかな褒美として、雨がやんだ隙を狙って1週間ぶりに外へ出た。風がひやーっと心地いい。気分を良くして大きく息を吸ったら、くっさい匂いが鼻の穴から一気に滑り込んでムホッとむせる。前方を見ると、隣の大家んちの大きなイチョウが大量にギンナンの実を落としている。臭いばかりか滑りやすい。困ったもんだ。でも、これもやはり秋の風情ではある。つい数週間前まで、その場所にはセミのなきがらがボトボトと落ちていた。残り蝉のなきごえだって聞こえていたんだけど。

“悪臭地帯”を抜けてそろそろと駅まで歩む。目当ては今月オープンしたばかりのカフェ。15席あまりの小さい店で、日替わり2種類の和定食と手作りスイーツが売りらしい。店の入口はあいにく10センチと少しぐらいの段差があり、入店にちょっと手間取り迷惑をかけてしまう。おニューの家具をmyギプスで傷つけないように気を付けながら着席し、サバのカレー風味定食とコーヒーを注文。白と木目基調で、ごくシンプルなディスプレイの中、オバケ顔のカボチャが控えめに置いてあって、それが可愛らしい。

ほどなく運ばれてきた定食は、陶器製の弁当箱のような感じに体裁良く盛り込まれていて、かわいらしい。味は、しみじみと普通で、いい。野菜の煮物がたっぷりと盛りつけられていて、ケガ以来おざなりになっている拙の身にはありがたい。じんわりしみた薄味の大根を口いっぱいに頬張り、つい「んまいー」と笑ってしまう。やっぱ食事はこうでなくちゃ。タンパク質も野菜もお豆もネ。そして白いごはんに熱々のおみおつけ。ああ、ありがたい、ありがたい。

アフターのコーヒーが運ばれてきた頃に、ガラス窓に斜めの点線がポツポツとついてきた。雨がふると拙は杖がつけないから、と体のいい言い訳をつけ、コーヒーをお代わり。2回とも、なぜかお砂糖が運ばれず、そーかココのは砂糖を入れずに味わうものなのか、と無理矢理納得(2回ともあとで来た)。さてそろそろ、という頃に、聞き慣れた電子音が厨房から聞こえてきた。どうやら追加のご飯が炊けたらしい。うちの炊飯器と同じ音だ、と、親近感。

感じがいいし、この辺りには飲食店がほとんどないから、これから重宝することだろう。どうか長く店を続けてほしい、できればこのまま味を落とさずに。そのために、できるだけ足を運ぼうと思うのだが、それにはまずこの左足の重たいギプスを外さないことには。坂の多い我が町が冬を迎える前ごろまでには、なんとしても自分の足で歩きたい。

(それにしてもこのキリンジかぶれっぷりは、自分のことながらちょっと異様かも)